私の父は、11歳のとき北方領土から引き揚げてきました。
当時のことを多くは語りません。
聞こうとしても、「思い出したくない」と一言だけ。
その言葉の重みが、私の心に長く残っています。
シベリア抑留、原爆――
その時代を生き抜いた方々には、語ることさえ苦しい記憶があるのだと思います。
けれど、今の世の中では、何も知らない人たちが“良いことをしている”という気持ちだけで
その記憶を扱ってしまう場面を見かけます。
悪気がないことは分かっています。
でも、語れない人の沈黙の中にも、深い祈りや悲しみがあるのです。
私は父から、歴史を学んだというより、
“言葉にできない思いを想像することの大切さ”を教わった気がします。
不動産の仕事でも同じです。
家や土地の背景には、その人だけの物語があります。
表に出ない想いに耳を傾け、
静かに寄り添うこと――それが私の役割だと感じています。
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女性が営む札幌の不動産会社 株式会社HONEST(オーネスト)代表取締役
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