知らないから言えること、知っているから言えないこと - 女性が営む札幌の不動産会社 オーネスト

HONEST通信

知らないから言えること、知っているから言えないこと

2025年10月23日

私の父は、11歳のとき北方領土から引き揚げてきました。
当時のことを多くは語りません。
聞こうとしても、「思い出したくない」と一言だけ。
その言葉の重みが、私の心に長く残っています。

シベリア抑留、原爆――
その時代を生き抜いた方々には、語ることさえ苦しい記憶があるのだと思います。
けれど、今の世の中では、何も知らない人たちが“良いことをしている”という気持ちだけで
その記憶を扱ってしまう場面を見かけます。
悪気がないことは分かっています。
でも、語れない人の沈黙の中にも、深い祈りや悲しみがあるのです。

私は父から、歴史を学んだというより、
“言葉にできない思いを想像することの大切さ”を教わった気がします。

不動産の仕事でも同じです。
家や土地の背景には、その人だけの物語があります。
表に出ない想いに耳を傾け、
静かに寄り添うこと――それが私の役割だと感じています。

The following two tabs change content below.
女性が営む札幌の不動産会社 株式会社HONEST(オーネスト)代表取締役

最新記事 by 川端法子 (全て見る)

川端法子



arrow_circle_up